あすとろのぼやき場

映画の考察やらなんやらを書きまとめます

2020年公開映画に感じた2つのトレンドについて

ぶっちゃけ、コロナは嫌い。

 

どうも、あすとろです。

 

気温も涼しくなり秋の匂いがしてきましたね〜

食欲の秋、読書の秋、運動の秋、逆行の秋…

逆行の秋といえば『TENET』ですよね!

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公開初日、0:00からの最速上映で観てきました。

個人的には大満足で最高の映画体験でした…

尽く大作映画が公開延期&配信限定という決断を下す中、本作はしっかり劇場公開してくれました。

個人的なテネットの感想たちです↓

Twitter

https://twitter.com/a_stro_07/status/1306652586049585153?s=21

・Filmarks

https://filmarks.com/movies/83583/reviews/97485327

 

数多のレビューアーさん達が詳しい考察や感想を上げてるのでそういうのを求めてる方々はそちらを見てほしいのですが、本作のテネットを観て今年の映画界を引っ張る要因というかトレンドの軸となるものを見つけた気がするので書き綴ろうかなと思います。

 

皆さんご存知の通りコロナの影響で公開延期どころか映画館の営業も大制限されてるこのご時世です、そんな中公開延期の穴を埋めるために“リバイバル上映”などが増え、最近だと少しずつコロナの脅威が弱まってきたおかげで数々の作品が公開してきています。

個人的な仕事の都合によりめちゃくちゃ暇な時間が増え、その都度コロナ対策を行いながら劇場に出向いて大作映画やミニシアター作品など観てきましたが「2020年の映画トレンドはこの2つだな」と感じました。

それが、

1,年代的エモーショナルさ

2,新しい映画体験

この2つだと感じました。

「はて?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、何故そう感じたのかを説明します。

※紹介する作品の中には本国で2018年など前に公開されたような作品も含まれていますが、今回は日本での公開日を基準としてお話させて頂きます、ご了承ください。

 

・年代的エモーショナルさ

ここ最近よく「エモいエモい」と聞きます、ぶっちゃけ「エモいとはなんぞや?」と思う人も少なくないと思いますが日本語で言うところの「感情的/感動的/情緒的」という意味です。

心を震わせるような感動的な映画は毎年毎年公開されてますが今年は“年代的”なエモーショナルさを感じさせる映画がヒットしている、また観た人に刺さる作品が多いと感じました。

まずここ最近の作品で例を挙げると『WAVES/ウェイブス』『ブックスマート』『アルプススタンドのはしの方』がそれにあたると感じています。

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この3作品は“学生時代の何とも言えないようなエモーショナルさ”を描いてる作品だと感じました。

具体的に言うと“挫折と再起”です。

WAVES/ウェイブス』は肩を負傷しながらも周りからの期待と己へのプライドのせいでレスリングを続け、結果挫折せざるを得なくなり家族を巻き込んだ不幸の道へと進む羽目になります。

また『アルプススタンドのはしの方』でも同じように過去に精算しきれていない“モヤモヤ”を抱えた部活もクラスもバラバラの4人が主軸となり物語を動かします。

ネタバレになるので抽象的な表現になりますが、『WAVES』はある一夜のせいで完全に崩壊した家族の関係が“小さな愛”により少しずつ癒えて行きます。

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また『アルプススタンドのはしの方』では4人の“しょうがない過去”を己の手で打破し精算する、という流れになります。

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そして『ブックスマート』では卒業式前夜に3年間ガリ勉してきた主人公2人が青春を取り戻すために奮闘する物語です。

こちらでは失恋だったり出会いと別れや、他者と比べる事で感じる“劣等感”などをポップながら鋭く描いています。

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ティーンをメインとした作品として余すところ無く感情的な部分を描いていますが、最終的には物凄く暖かく幸せなラストを迎えます。

ブックスマートも劇的な描き方こそしてませんが、失恋で挫折し再起する、友との別れで悲しむが再起するというような連続で物語が形成されてゆきます。

どちらの作品も話の展開や経緯は全く異なりますが3作品に共通するのはやはり“挫折と再起”です。

そこに学生ならではの活気や少し羽目を外したおバカさ、そして甘酸っぱい恋愛など繊細だけど大胆な感情にフォーカスをして描かれています。

色々な事情で学校に行けてないなどあったとしてもどなたも“学生として括られる時期”は通ってると思います。

分かりやすく“学校”という舞台設定を設けていると思いますが、上記3作品が持つメッセージはかなり普遍的です。

 

また同じ年代的エモーショナルな作品でも学校や学生という括りを取っ払った作品が『mid90s』です。

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本作の主人公のスティーヴィーは13歳で確実に学生である年齢なのですが、本編で学校に行くようなシーンは全くありません。

本作は初めて自分で好きになった物を受動的に探し始め、精神的に成長していく姿をスケボーを比喩として描いた作品です。

本作の方がより深い内面的な部分を描きつつ13歳という幼過ぎもせず、かと言って大人でも無い絶妙なところを上手く表現しています。

『mid90s』も最初はスケボーが下手で転びながらも練習し成長していく“挫折と再起”を描いています。

 

そして『カセットテープダイアリーズ』も違うベクトルでエモーショナルさ、ならびに挫折と再起を描いています。

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本作は“音楽”を軸とし、差別や家族の圧などにより夢を諦めそうになるがブルーススプリングスティーンという心の支えになる音楽と出会う事により挫折を乗り越え再起し夢に向かって進んでいく、という内容です。

ジャンルに違いはあるものの、大多数の方なら好きなアーティストと出会い影響された経験があるのではないでしょうか?

その“初めての出会い”を描きつつ、夢を追う事に対して肯定をしている作品でもあります。

 

上記の作品は10代という精神的変化が激しくデリケートな設定とプラスして“学生”というお陰で数多の失敗や挫折を経験しやすく、でも経歴などの傷は残りにくい舞台設定が上手く効いている作品に当たりが多いなと感じました。

これを聴いて「どこが年代的エモーショナルさなんだ?」と感じる方がいるかもしれませんが、実は大々的に表現をしています。

まず上記の作品それぞれが中学や高校の“学生時代”という“年代”を表現してます。

その上、音楽や映像で“年代”を表しています。

『カセットテープダイアリーズ』ではブルーススプリングスティーンで80年代を、

『mid90s』ではウータン・クランやバッド・ブレインズなどのヒップホップで90年代を、

WAVES/ウェイブス』ではカニエ・ウェスト、フランクオーシャンなどのヒップホップでテン年代を、

というように聴覚で“時代”を奏でているのです。

その年代で青春を過ごした方は音楽が流れれば問答無用でノれます、またその「ノれる」という事が当時を思い出すトリガーになり、そこに主人公の気持ちや葛藤などが合わさり“エモい”という感情になるのです。

音楽を知らなくても、当時の舞台背景を知らなくても単純に初めてその音楽触れる、つまり主人公と同じ気持ちになって観れる訳です。

逆に音楽も舞台背景も知っている方は記憶が蘇るところで楽しめる。

そこに監督のこだわりや個性を入れる事で良いエンタメに昇華するので“年代モノ”はこの現在だとある種最高のツールなのです!

 

もう既に長ったらしく書いてしまった…(ヤバイ)

年代的エモーショナルさについてはある程度認知していただけたと思います。

ということで次のテーマについてお話しさせて頂きます。

 

・新しい映画体験

ここ最近、VODサービスが普及し始めスポンサーに囚われないやり方で独自の作品を作るようなことが増えて来ました。(Hulu、NetflixAmazonプライム等々)

スクリーンと比べれば音響や画面サイズなど劣りますが映画館で1作品観るよりも安い金額で何本も見放題、しかもダウンロードでオフラインでも楽しめるようになってしまったこの現代で“映画館”と“VOD”を差別化するのは難しくなってきてます。

そこで出てくるのが“映画体験”なのです。

 

具体的に言うと映像や音とプラスして、4DXなどの動きでその感動やライド感を後押しする“アトラクション型”

そしてそもそもの“映像の撮り方”で世界観への入り込ませる“没入型”

以上の2つがあります。

 

まずはアトラクション型から。

アトラクション型の作品は分かりやすいので2つ、

『フォードvsフェラーリ

トップガン マーヴェリック 』です。

 

まず『フォードvsフェラーリ』ですが、本作は過去の4DX作品とは違い4DXとプラスしてScreenXでの上映も多かった作品です。

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ジェームズマンゴールド監督のこだわりもあり、通常スクリーンで観ても熱量や、レースのスピード感がとても感じられる作りでしたがそれと合わせて4DX+ScreenXでの上映もありました。

(ここで4DXやScreenXの説明をしてしまうとまた長くなるので割愛させて頂きます)

 

4DXにより冒頭のシェルビーのレースシーンでいきなり車の助手席に乗せられたような没入感を、

そして3面で映し出すScreenXで実際に運転席で運転している時の視覚と同じような体験ができます。

特別料金なので値段は割高になるものの、確実にホームシアタータブレットの画面だけでは味わえないのは間違いありません!

 

また結果公開延期してしまいましたが『トップガン マーヴェリック』も恐らく4DX上映があるのではないかなと見込んでます。

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というのも現代の撮影技術とプラスしてトムクルーズの体当たり戦闘機アクションが合わさった本作は4DX映え間違いなしの作品です(予告編でも既に迫力が違いますし)

なので現状、予定通り12月に公開された際は4DXを期待しても良いのかなと思います。

上記で説明して察した方もいらっしゃるかもしれませんが劇中で何かに乗るような描写があるととても4DX映えし“映画体験”となる訳です。

 

そして没入型の作品も分かりやすいので同じく2つ、

『1917 命をかけた伝令』

『TENET』です。

この2つは設定や撮影手法などのアイディアで4DXやScreenXなどを使わずとも観客を没入させる、世界観へ巻き込ませる作品です。

 

『1917 命をかけた伝令』はアカデミー賞でもノミネートされた事で知ってる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

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編集やカメラの撮影方法で1カット撮影に見せそれにより臨場感を持たせ没入させる、その上IMAX含め劇場の大画面のスクリーンで見る事によって自分も戦場の最前線に立ったように感じる“映画体験”を味わえる訳なのです。

 

そして今や映画好きの中で知らない人はいない『TENET』も“新しい映画体験”をはらんでいます。

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そもそもが賛否は分かれるものの映画界の革命児的なところがあり極限まで映像と設定共にリアルを突き詰めるノーラン、そんな彼の最新作です!

撮影方法などはいつも通りなのですが、本作は“設定”と“編集”により新しい映画体験を観客に味わせる、浴びせるというものです。

手法的にはとても古典的な、「逆の動きを逆再生する」というものですがその手法と動きを極限まで突き詰めたからこそ、今まで見た事のない“時間逆行”を味わいその新鮮さを活かしてエンタメとして昇華させた見事な一本です。

内容の賛否はあるものの「こんな映像は見たことない」という人は多いのではないでしょうか?

映画館の大きいスクリーンで“映画”というフィルターを通して“時間”を観る、普段当たり前のようにある概念を具現化させて味わうからこそ“新しい映画体験”になる訳です。

 

という事で長々と書いてしまいましたが、如何でしたでしょうか?

書いてて気づいたのですが、年々撮影技術やCGなども進化してる中で今回代表して紹介した作品は大体がCGなどに頼らず実際に行う作品がやはりウケは良いのかなとも感じました。

 

上記の作品以外にもまたジャンルの違った最高の作品は数多く存在するので、ぜひ感染予防がしっかり整った劇場で自分の好みの作品を見つけて、味わってみてください!

 

という事で今回はこの辺で、

ということでまたいつかお会いいたしましょう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

こんだけ絶賛した後ですが今年公開の映画の中で唯一ワースト1位の映画があります。

どの作品とは言いませんが“何かが分かった”方だけ察してください・・・

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そんな映画の感想↓

https://filmarks.com/movies/80920/reviews/91984652